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しばうらこうぎょうだいがく

芝浦工業大学附属高等学校

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デジタルパンフレット

スクール特集(芝浦工業大学附属高等学校の特色のある教育 #6)

理系大学附属の利を生かした高大連携「Arts and Tech」で学ぶ工学の面白さ

芝浦工業大学附属高等学校の特色のひとつが高大連携の特別講座「Arts and Tech」。芝浦工業大学の教授から、工学を学ぶプログラムについて、先生と生徒から話を聞いた。

芝浦工業大学附属中学高等学校は、中学・高校・大学一貫で、理工系の人材を育てられる教育機関として注目を集めている。同校が提唱する「STEAM教育」とは、理工系のスペシャリストになるために必要な「Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術)、Mathematics(数学)」の頭文字をとり、科学的・数学的な思考力を身につけ、技術・工学・芸術的なアプローチによって創造力を育む芝浦工大附属独自のカリキュラム。この「STEAM教育」に繋がるプログラムのひとつが高校入学生のための「ものづくり特別講座「Arts and Tech」。芝浦工業大学の附属校という利を生かし、大学教授が指導をする実験と製作の講座で、週2時間、教授だけでなく大学生、大学院生たちもサポートに来てくれる特別授業だ。今回は、高校1年の「Arts and Tech GⅠ」と高校2年の「Arts and Tech GⅡ」の授業について取り上げる。

「Arts and Tech GⅠ」 生徒たちの好奇心を刺激する多彩なプログラム

高校入学生のための高大連携の特別講座「Arts and Tech」は高校1年から高校3年まで3年間通したプログラム。高校1年(G1)では工学の面白さを体験してもらおうと実験的なプログラムが多く、生徒たちに好評だ。
「『Arts and Tech』の授業を受けたくて本校を志望したという生徒が多いようです。昨年はコロナ禍でオンライン授業になり、予定していた実験などできないことがいくつかあったのですが、『スターリングエンジンの組み立てをやりたくて入学したのに、去年できなかったのでやらせてください』という生徒がいるなど、『Arts and Tech』への期待の高さには教員も驚いています。座学の学びとは違う、リアルな体験ができるので、生徒たちの好奇心を刺激しているようです」と情報・技術科の須田雄一先生は語る。

▶︎情報・技術科 須田雄一先生

高校1年から大学レベルの実験に挑戦!

工学はさまざまなカテゴリーに分かれており、1年生のG1では、機械機能工学、材料力学、電気情報工学、情報通信工学、生命科学を学習する。芝浦工業大学工学部材料工学科の刈谷教授による講座「スパゲティブリッジ」(パスタを利用して橋を設計し、製作することで橋の構造を学ぶ)はかなり好評だった様子。ほか、工学部機械工学科の矢作教授によるスターリングエンジンの製作(熱工学)、システム理工学部生命科学科の奥田准教授の講義とDNAからタンパク質を抽出する実験(生命工学)など、高校1年時から、大学レベルの学習と実験に取り組めるのは魅力だ。
「教授の授業はもちろんですが、大学生や大学院生が『Arts and Tech』の授業に来てくれるのも生徒にとっては大きいようです。大学生から聞くリアルな学生生活や研究の話は、大きな刺激になり、自分の進路選択のヒントにもなると思います。また、材料工学科の刈谷教授は、生徒たちに大学の研究室を見学させることもあり、より工学が身近に感じられる授業を展開しています。板橋区から江東区豊洲に移転し、芝浦工大が近くなったからこそできることですね」(須田先生)

高校からの入学生は、芝浦工業大学へ進学希望の生徒が多い。『Arts and Tech』で大学教授の授業を受けたり、大学生や大学院生たちと交流の機会を持てたりすることは、大学進学後のイメージを持ちやすくなるメリットがある。
「『Arts and Tech』は高校入学生だけの特別講座なので、中高一貫生はうらやましがっています。でも中高一貫生は、大学連携教育の一環で、中学のときにすでに『工学わくわく講座』でスパゲティブリッジの組み立て授業など、さまざまなものづくりを経験させています」(須田先生)

2021年度の1年生は「Arts and Tech」の授業をどのようにとらえているのだろうか。2名の生徒さんに話を聞いた。

生徒インタビュー

▶︎写真左より:Iさん、Sさん

Sさん 1年生
Iさん 1年生

お二人とも高校入学生ですが、まず芝浦工大附属高等学校の志望理由を教えてください。

Sさん
私は得意な教科が理科、数学だったので、理数系の高校、大学へ進学したいと思い、志望校探しをしているうちに理数系の高校として芝浦工大附属を見つけて「この学校いいな」と思い、受験しました。

Iさん
僕は小さい頃から鉄道が大好きで、中学3年のとき「将来はJR東日本に就職したい」と思い始めて、JR東日本への就職率が高い大学を調べてみたんです。そうしたら、芝浦工大はJR東日本への就職率が高かったので、芝浦工大の附属であるこの学校を受験することにしました。

「Arts and Tech」大学教授からの特別講座を受講できますが、実際に授業を受けてみて、いかがですか?

Sさん
例えばスターリングエンジンの製作だったら、中身の仕組みについて1から教えてもらえるのでとてもわかりやすいし、大学生や大学院生も来てくださるので、芝浦工業大学ではどのような授業が受けられるのかもわかるので、とてもいいです。

Iさん
やはり大学の先生が授業をしてくれるので、大学の授業カリキュラムの話とか、その日に作るロボットの構造とか、いろいろなお話に対して「ああ、そうなんだ」と納得できるものが多いです。アクティブラーニングに近くて、自分で考えて進めていくのが特徴的だと思います。

これまで受けた「Arts and Tech」の授業で面白かったこと

Sさん
スターリングエンジン製作の授業では、ネジの絞りが固すぎると回りにくくなり回転数が変わってくることなどを教わり、とても面白かったです。はんだ付けもしました。はんだ付けの経験はありましたが、こんなに細かいのはしたことがなくて。でも、好きなので楽しかったです。これからプログラミングの講習も始まるので期待しています。

Iさん
僕はライントレースロボット製作で、ギアボックスを作っているときがとても楽しかったです。一度完成したけど、動きに違和感があったので、一回組み直してみたら、ギアの調整が間違っていたんです。自分のミスを確認したり、修正したりという作業も楽しみながらできました。

大学教授から学ぶことは普段の授業での学びとは違いますか?

Sさん
教科の授業よりも、物を使って実験したり製作したりすることが多く、いろいろな体験ができるところが違います。大学についての説明も興味深かったです。芝浦工大の学部や学科を見ても、機械工学の学科が複数あって、何をしている学科なのかわからなかったんですが、それぞれの違いをわかりやすく説明してくれたので良かったです。

Iさん
大学教授の先生は、やはり専門分野の知識が深いので、僕が興味を持っていること、例えばモーターに関する知識も多く吸収できるのがいいなと思います。

お二人はクラブ活動も理系関連なのですか?

Sさん
私はバドミントン部に所属しています。

Iさん
僕はESS部で、英語でゲームをしたりするクラブです。3歳から英会話を習っていて、英語が好きなんです。英語は世界共通語ですから、話せれば、世界中の人との交流関係が広がります。プレゼンで自分の意見を英語でスピーチしたりするのも好きで、ちゃんと相手に伝えられるように話をしたいと思っています。

将来の夢はなんでしょうか?

Sさん
私はデザイン系の仕事に興味があります。小学校のときに建築家の安藤忠雄さんの展覧会を見に行って、とても感動したんです。建築は、光の使い方まで考えて設計されていて、いろいろなことを計算して作られているんだなと思い、建築デザインの仕事にすごく惹かれました。

Iさん
僕は、JR東日本に就職をして、機械系の仕事に就きたいです。鉄道の仕組みをもっと知りたいし、いずれ鉄道デザインの仕事ができたらいいなと思います。

芝浦工業大学附属高等学校に興味を持っている受験生は多いと思います。この学校の魅力を教えてください。

Sさん
高大連携が魅力です。大学附属なので、大学の学科について深く知ることができるし、大学でどんな勉強ができるのか、詳しくわかるのがいいと思います。

Iさん
すごく理系寄りの授業が受けられるところです。この学校は、高校1年生から物理を学ぶことができますし、附属高校なので、大学受験のための勉強というより、芝浦工業大学に進学したときに役立つ勉強ができるのがいいと思います。

「Arts and Tech GⅡ」「ものことづくり」で学ぶデザインの仕組み

2年生の「Arts and Tech GⅡ」は卒業後の進路を見据えながら、GⅠの内容をステップアップさせたプログラム。GⅡは主にデザイン工学部の教授陣を迎えて授業を展開している。おもしろいのは「ものことづくり」。デザインの対象が「モノ」と「コト」であることを学んでいく。
「例えば、掃除機は本当に掃除機かという発問から掃除機が達成していることを考えてみると、それはゴミを吸い取ることです。しかしゴミを吸い取ることは、家事という行為全般のごく一部であり、ユーザーのニーズはあくまで家事の達成になります。いい掃除機を作ろうという視点だけだと、本当のユーザーのニーズは叶えられないことになります。「モノづくり」(掃除機)を手段とし、「コトづくり」(家事・掃除)を新たな価値として提供する。そういったことも踏まえて、GⅡで学ぶデザイン工学では、ことづくりを達成するためのデザインに取り組んでいます。高齢者体験をして、実際に何に困っているのか、必要なものは何かを知るという問題定義の段階も踏んで、ユニバーサルデザインについて学習しています」と美術科教員の山岡佳代先生は語る。

▶︎美術科教員 山岡佳代先生

学年を超えて、外部コンペティションにエントリー

GⅡでは、「ものことづくり」以外にも芝浦工業大学デザイン工学部の田邊教授から、リサイクルデザインについて学習したり、アフォードする形やシステムデザインなど、さまざまなデザインを学び、「休み時間に英語を勉強するデザイン」をグループで考案、発表もしている。プログラミングに関しては、VBA(ビジュアル・ベーシック・フォー・アプリケーションズ)を用いて学び、Randmize やDoEventsなどを使いこなせるように学習。そのプロセスで、自ら調べ、友人と協力して問題解決するなど、より深く工学デザインに関わる学びを得ている。中には、学んだことを活かして、外部コンペティションに挑戦する生徒もいるそうだ。

「RTミドルウェアコンテストは社会人、大学院生、大学生とともに高校生もエントリーできるので、2021年もエントリーする本校の生徒はおります。学年を超えてグルーピングできるのがいいですね。生徒たちは学年の違う先輩後輩のスキルまで把握できないので、それが可視化できる方法があれば、もっとこういった活動が活発化していくと思います」(山岡先生)。

また同じ理系の学校で学んでいても、それぞれ得意分野がある。部活動では、生徒同士が協力しあっている姿がたびたび見られるそうだ。
「本校の電子技術研究部の生徒がプログラミングを作り、美術部にロゴ制作を依頼したり、モーターの車を作るために、美術部と電子技術研究部と工学技術研究部がタッグを組んでひとつのことを成し遂げたり、そういう自由な発想を持っている生徒が本校にはたくさんいるので、そういう活動を応援していきたいです。“みんなで協力すれば、いろんな可能性が広がっていくんだよ”ということを教えてくれるのが『Arts and Tech』の大学の先生方。生徒たちは本当にいい刺激を与えてもらっていると思います」(山岡先生)。

生徒インタビュー

▶︎写真左より:Mさん、Kさん、Hさん、山岡先生

Mさん
Kさん
Hさん

「Arts and Tech」の授業について、それぞれよかったことなど教えてください。

Mさん
デザインとアートの違いに関するテーマの動画で行われた授業が面白かったです。デザインは実用性があり、それを受け取る側がいるもの。しかし、アートは受け取り、活用する人はいない。ある意味、一方的なものと考えられているんです。僕らが気付かないうちに、世の中のいろんなものが、そうやって作られていることがわかりました。

Kさん
グラフィックレコーディングです。普通、講義内容とかレポートにまとめるときは文字をノートに記していきますが、グラフィックレコーディングは、絵と図を多めに使ってわかりやすくまとめる手法です。Mくんが言っていたデザインとアートの違いについて、どういう商品がアートなのかという講義を受けたのですが、これもグラフィックレコーディングで、図として記すことで、あとで見返したときパっとわかるようになりました。例えばハロウィンゴミ袋。ゴミを入れるとパンプキンの形になるのですが、これはハロウィンのときだけ実用的で、普段は実用的とは言えないアートの一種。そういったことを絵にして記しておくことで、あとから見返したときすぐにわかるんです。これはなるほどと思いました。

Hさん
私は、使用する人がいるという前提で物事を考えていくのが楽しかったです。特に感じたのは高齢者体験を通した授業です。何もない状態だと、何のために、いつ使うのかがわからなくて、考えがフワフワしてしまうのですが、高齢者体験という対象を与えてもらえたので、体が動かしにくいとか、視界に難があるとか、具体的に問題点が見えてきて、解決するためには、何をしたらいいのか、どんなものが必要なのかと考えることができました。その中でもいちばん注目したのは、視界で、主に色がわかりずらいという点です。高齢者の方の中には、壁と床の色が識別がうまくできない方もおり、段差に気づかず転倒してしまうこともあるそうなので、それを解決するためにはどうしたらいいのかと深く考えることができました。

1年生のときも「Arts and Tech」の特別講義を受けてきたと思うのですが、通常の授業との違い、楽しさはどこにあるのでしょうか?

Mさん
単なる講義ではなく、教授の授業を聞きながらも、実際に物作りをするなど、考えながらも手を動かすのが面白いと思います。高校1年で組み立てたスパゲティブリッジ、自分たちの班はうまくできなかったのですが、これでものづくりの難しさを学びました。

Kさん
同じくスパゲティブリッジの話ですが、教授から材料力学について学んでから、組み立てを始めたので、仕組みについて考えながらできたことが良かったと思っています。

Hさん
例えば数学の公式をもとにして計算していく学習は、いつか役立てるためにやっていると思っていましたが「Arts and Tech」は、そのとき自分が持っている技術や考えから何かを生み出すことができる、自分の考えをぶつけることができる対象がある学びなんだと感じました。

芝浦工業大学附属高等学校について知りたいという受験生のために、この学校の魅力を教えていただけますか?

Mさん
設備が整っていて、校舎がきれいなところです。

Kさん
先生方の質が高いです。教科書の内容だけでなく、その延長線上にあることも教えてくれるなど、授業が充実しています。

Hさん
理系の大学附属なので、「Arts and Tech」のような特別講座で、大学教授から理系に特化したお話が聞けるのはやはり魅力です。私が高校入学したときは、1年生は男子と女子でクラスが分かれ、2年で混合クラスになりました。男子に比べると女子の人数はまだ少ないけれど、女子クラスでしっかり仲良くなってから混合クラスになったので、よかったなと思います。最初こそ緊張しましたが、大学は共学ですし、今後のことを考えれば、コミュニケーション力が鍛えられていると感じています。

みなさんは高校入学生なので、芝浦工業大学へ進学するのではないかと思いますが、この学部でこういうことを勉強したいという考えはありますか? また将来の職業についても目指している仕事があったら教えてください。

Mさん
僕はまだ学部まではっきり決まっていないのですが、機械工学を勉強したいです。これは高校入学のときから考えていました。将来は、鉄道に興味があり、運転士になることを考えていたのですが、鉄道業界もIT化が進み、運転士の職がAIに奪われる時代が来るかもしれません。でもAIをはじめとする機械を支える仕事は消えることはないと思うので、消えない職業で地盤を固めて、自分のやりたい仕事に関わっていきたいと思います。

Kさん
今の段階だとまだ詳しく教わっていないのですが、ユーザーインターフェイス、ユーザーエクスペリエンスという分野に興味を持っているので、デザイン工学部についていろいろ調べたりしています。将来は、ユーザーに商品の素晴らしさ、便利さなどを体験してもらうサービスの仕事に興味があります。例えばiPhoneは取り扱い説明書がなくても使用しながら使い方を覚えてもらうように出来ていますが、ユーザーに喜んでもらえる、そういう商品などを開発できるようになりたいです。将来は使いやすさが重要になってくると思うので。

Hさん
私は大学に進んだら、土木分野に進みたいです。将来は、主にインフラ、陸橋などに関わりたいので。スパゲティブリッジを組み立てたとき、自分で設計してバランスを考えたりできたのは、とてもためになりました。大学ではもっと自発的に学べることが多くなると思うので、自分が講義を受けた内容を深めていきたいですね。

(取材を終えて)
芝浦工業大学の附属校ならではのプログラム「Arts and Tech」。理系に特化したプログラムは実によくできており、GⅠからGⅡへと学びの質を深めながら、生徒たちの興味関心をしっかり引き出す働きをしていると感じた。授業だけでなく、大学では何をどうやって学ぶのかを知ることで、大学での学びのイメージが具体的になり、進学について前向きに考えるきっかけが得られる。これは生徒にとっては大きいだろう。現在は工学の講座がメインだが、今後はもっと学ぶ分野が広がっていくのではないだろうか。すでに「Arts and Tech」があるから同校を志望したという生徒もいるそうだが、確実に「Arts and Tech」は芝浦工業大学附属中学校高等学校の大きな魅力であり、今後の展開には期待は高まるばかりだ。

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