スクール特集(品川エトワール女子高等学校の特色のある教育 #9)

すべてが「生徒中心」! ハワイの女子校に2週間通って得た出会いと気づき
品川エトワール女子高等学校では、今年度からハワイの女子校に2週間通う提携校派遣プログラムがスタート。現地校の様子や授業内容を取材した。
国際社会で活躍できる人材を育成する「国際キャリアコース」では、充実の海外留学制度や短期ホームステイプログラム、海外修学旅行など、海外生活を体験できる機会も多い。今年度から開始したハワイの提携校派遣プログラムについて、「国際キャリアコース」担当の菅原喜一先生(国際教育部長)と9月にハワイの提携校に派遣された生徒に話を聞いた。
ハワイ提携校派遣プログラムがスタート
同校では、海外の教育提携校と相互に留学生を派遣するプログラム(約2週間の滞在)を実施しており、これまでブータン、タイ、インド、フィリピンへ生徒を派遣してきた。
「本校では、全員参加の海外修学旅行や希望すれば参加できるプログラムも用意していますが、ハワイの提携校派遣プログラムは選抜試験があります。今年度は英検準2級から準1級相当の筆記試験、ネイティブ教員と日本人教員による英語での面談、そして日頃の成績も参考にしました。英語力も重要ですが、目的意識や異文化への適応力などを重視しています。今回の希望者には高1や外国籍の生徒もいましたが、高2の生徒1人が派遣されました」(菅原先生)
派遣された提携校は、オアフ島にある「La Pietra Hawaii School for Girls」。中高一貫教育を行う私立の女子校で、6年生から12年生まで約90名が通う小規模校だ。ダイヤモンドヘッドの麓にある美しいヨーロッパ調のキャンパスは、ウェディング写真の撮影舞台に使われることもあるという。
「私も学校を訪れましたが、校舎がとにかく素晴らしかったです。生徒たちは落ち着いた雰囲気で、先生との距離も近いと感じました。私も先生方とすぐに仲良くなって、少ししか滞在できませんでしたがとても楽しかったです。ハワイでは、多様な民族が共存しています。それぞれが違うということが、当たり前だということを学んでほしいという思いがあります。本校にも多国籍の生徒が通っているので普段の生活でも感じているとは思いますが、別の視点から多様性を垣間見ることができるでしょう。交換留学という形としては、姉妹校ではハワイからの生徒をすでに受け入れています。今後は本校でも受け入れられるように、準備を進めていきます」(菅原先生)

▶︎国際教育部長 菅原 喜一先生
ハワイ提携校派遣プログラムを経験した2年生にインタビュー
Eさん(国際キャリアコース 2年生)

――ハワイの提携校派遣を希望した理由を教えてください。
Eさん 小学2年生ぐらいからフラダンスを習っています。母がブライダルの仕事をしているので、結婚式で披露されたフラダンスを見る機会があり、涙が出るくらい素敵だったんです。母からやってみたらと言われて始めたらとても楽しくて、母が感動して涙するぐらい踊れるようになりたいと思って続けています。フラダンスを続ける中で、表現を豊かにするためにもハワイの文化に触れたいと思っていました。本当は中学時代に行きたかったのですが、コロナの影響もあって実現できなかったのです。今年からハワイの提携校派遣があると知り、絶対に行きたいと思いました。
――選抜試験に向けてどのような対策をしましたか?
Eさん 「国際キャリアコース」は英語の授業が週8時間あるので、英会話はだいぶ上達したと感じています。試験まであまり時間がなかったのですがそれほど焦らず、英検対策や単語帳の確認など、できることをやりました。英語での面談で聞かれたことは、動機やハワイでの学びをどう活かすかなどです。私にとってはフラダンスが一番の理由なので、目に力を入れて行きたい気持ちを伝えました。学校の代表として私を選ぶ理由があるかと聞かれたので、私を行かせる価値があると自信を持って答えました。
――ハワイ(オアフ島)の印象はどうでしたか?
Eさん 東京と違って建物が低く、目の前に海や山が広がっていて広大さを感じます。ホームステイ先のバルコニーからは、コオラウ山脈が見えました。山だけでなく海も見えますし、バルコニーで踊ることもできます。フラダンスでコオラウ山脈を舞台にしたストーリーを踊ったりするので、本物を見ながら踊れば表現力も高まると思いました。毎朝バルコニーで踊りましたが、日本では部屋の中で鏡を見ながらレッスンしているので、外で踊るのも新鮮です。目の前には山が広がり、心地よい風を感じながら踊ることができ、帰国してからも思い出せる景色があります。写真や人から聞いた話ではなく、自分で体験したことを思い出して踊れるのは全然違うので、本当によい経験ができました。

――ホームステイ先はどのような家庭でしたか?
Eさん ホストファザーは韓国人で、マザーは黒人という多文化な家庭だったので、いろいろな文化に触れることができました。ゲストとして滞在しているつもりはありませんでしたが、ホストとしていろいろおもてなししてくれたことが嬉しかったです。食事は毎日きちんと用意してくれて、韓国料理も食べました。行きたいところも毎日確認してくれたり、できるだけいろいろな経験をさせてあげたいという気持ちが伝わってきました。
――現地校の印象を教えてください。
Eさん ダイヤモンドヘッドが一望できて、後ろにはワイキキビーチが見えます。中庭には噴水があり、とても開放的な校舎です。初日には集会で歓迎してくれて、レイもかけてもらいましたが、チャイムと同時にそれぞれが選択している授業に移動しました。特別感を引きずらず、すぐに普通の日常に戻るという感じで、メリハリが感じられます。

――現地校ではどんな授業を受けましたか?
Eさん どの授業も、日本とは全く違っていました。英文学の授業は、カンマの使い分けなどを学んだりして、トピックが面白かったです。陶芸の授業もあり、先生に手伝ってもらいながら作品を作って、焼き上がったものを持ち帰りました。アメリカ本土同様に犯罪に巻き込まれる危険もあるので、体育では護身術を学ぶ授業もあります。トレーニングルームもあり、筋トレの授業もあるので、女子ですがみんな力も強くて自分の身は自分で守れそうな感じでした。
――日本の学校との違いで印象に残っていることを教えてください。
Eさん 日本では教室に机が並んでいるのが一般的ですが、ラピエトラ(現地校)ではいろんなスタイルで授業が受けられます。ダンスの授業はヨギボー(ビーズソファ)に座ったり、鏡の前でくつろいで受けたり、座学でも黒板を囲んで机を半円状に並べてディベートしたりしました。先生は指示を出しますが、生徒たちの考えを遮ることはありません。挙手をするとすぐに注意を向けてくれて、生徒中心の学校だと感じました。今までは気にならなかったのですが、ラピエトラでいろいろなスタイルの授業を受けた後では、整列された机や椅子に座って話を聞く授業は少し窮屈だと感じます。
――ハワイの生徒たちは日本の学校についてどんな印象を持ちましたか?
Eさん 姉妹校の生徒と3人でプレゼンをする時間があり、全校生徒の前で日本の学校を紹介しました。日本の学校ではホームルームが決まっていて、各教科の先生が移動してくると説明したら、羨ましいと言われました。アメリカでは逆に先生の教室が決まっていて、選択している授業に合わせて生徒が動かなければならないので、座って待っていれば先生が来るのは羨ましいようです。
――今回の派遣で一番印象に残っていることを教えてください。
Eさん 生徒同士が嫌な気持ちになるようなことは言わないように、先生が気を配っていたことが印象に残っています。例えば、英文学の授業で生徒が物語を作ってみんなでシェアするトピックがありました。先生がみんなで意見交換しようと声をかけたあと、「ポジティブなことだけ伝えましょう」と言ったのです。体育の授業でアメリカの伝統的な遊びにチーム戦で取り組んだときは、「もし友達に悪いことをしたと思ったら、今、謝ってね」と先生が言いました。6年生から12年生までが通う学校ですが、友達への愚痴などを聞くことがなかったのは、こういった背景があったからなのだと思います。

――ハワイへの派遣を経験して成長したなと感じる部分はありますか?
Eさん 1年生のときには、アメリカのユタ州でのホームステイプログラムに参加しました。希望すれば行けるプログラムなので、あまり緊張感もなく楽しめて、英語力は成長しましたが、精神面での成長は今回ほどではなかったです。今回は、学校の代表として行くことの責任が伴いました。もし私が風紀を乱したりしたら、後輩にこの経験をさせてあげられないかもしれません。どの場面を評価されているかわからないので、常に緊張感を持って行動しなければなりません。やるべきことを自分で理解して行動しなければならなかったので、出発前より自立できたと思います。
――帰国後の学校生活でどのような変化がありましたか?
Eさん 授業に対して気持ちが変わりました。帰国後の挨拶をする機会をいただいたので、みんなに「授業中に自分の意見をどんどん言おうね」と伝えました。ハワイやユタでの経験と比べると、日本ではまだ授業で自分の意見を言うのは少数派だと感じます。ラピエトラでは、授業中に眠るのも論外です(笑)。「もし眠ってしまったらどうなるの?」と聞いたら、「授業中に眠る人なんて見たことがない」と言われました。私がハワイで経験したことで、みんなにもプラスになると思うことは伝えるようにして、みんなもそれを吸収していってほしいです。
――将来についてはどのように考えていますか?
Eさん 将来は教師になりたいと思っています。なりたいと思ったのは、菅原先生との出会いがあったからです。中学校では、成績以外で評価してくれる先生がいませんでした。菅原先生は生徒の性格なども深く知ろうとしてくれるので、成績以外で評価する先生がいると知って嬉しくて、私もそんな先生になりたいと思うようになったのです。ラピエトラは、私もこんな先生になりたいと思える素敵な先生ばかりでした。選抜試験の面談でも、将来のためにも様々な先生像をインプットしたいと言ったのですが、よい先生像をたくさんインプットできたので素晴らしい経験になったと思います。ラピエトラでの経験を通して、日本でももっと生徒が活発に意見を言えるような学校作りに関わりたいと思うようになりました。経験したからこそ得られた思いなので、進学先や就職先でもこの思いを伝えていきたいです。

自分の「星」を見つけるための様々な体験
「国際キャリアコース」の生徒たちは高2の2学期にオーストラリア修学旅行を実施し、1週間ホームステイをしながら、ブリスベンの私立女子校に通う。
「今日はオーストラリアから帰国して最初の登校日だったので、『期末まであと1ヶ月となり、授業を通してみんなで意見を言い合える機会も限られてきました。授業中も積極的に発言して、有意義な時間を過ごせるようにしましょう』というような話をしました。もともと積極的な生徒が多いクラスではありますが、Eさんからもよい刺激を受けて、さらに活発に発言できるようになるといいなと思っています」(菅原先生)
校名の「エトワール」は、フランス語で星という意味。生徒たちが自分の「星」を見つけて、輝いてほしいという願いが込められている。
「自分らしい、自分にしかない星を見つけて輝いて、他の人にも影響を与えられるような人になってほしいと思っています。自分の星に気づけていない人も、目をこらせば見えてきます。Eさんはハワイで自分の星を見出すことができましたが、見つける方法はそれぞれ違ってよいのです。本校では、星を見つけるチャンスをたくさん用意しています。自分の星を見つけて輝きたいと思っている人は、ぜひ本校に来てください」(菅原先生)
<取材を終えて>
姉妹校にラピエトラからの留学生が来ていることを羨ましく思っていたEさんだったが、ラピエトラの校長先生が同校のために来日してくれたという。校長先生がEさんとの再会を喜び、ハグをしてくれて「会いたかったよ。また来てね」と言ってくれたことからも、Eさんの派遣によってよい関係が築けたことが伝わってきた。

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