私立中学

女子校

じょしびじゅつだいがくふぞく

女子美術大学付属高等学校

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スクール特集(女子美術大学付属高等学校の特色のある教育 #2)

高大の密な連携が魅力。高校2年生のための女子美術大学説明会

女子美術大学・短期大学部の教授陣による連携授業を実施している同校。今回は高校2年生のために開催された「女子美術大学説明会」をレポートする。

学校で開催される大学説明会

5月某日、付属生のためだけに、女子美術大学の全学科および短大から先生方が来校し、学校説明会が行われた。第一部は体育館にて、高校2年生全員が集まり、全体説明会を実施。新設学科の説明では、学科の授業が将来どんな仕事につながっていくのか、高校生にもわかりやすく説明されていた。真剣に話を聞く生徒たちの後ろには、同説明会に参加を希望された保護者が、生徒と一緒に話を聞く姿も見受けられた。

進路指導部の大西先生と中村先生に話を聞いた。

「優秀な生徒を女子美大に進学させることを目的に、5年前から大学の先生が来校して、今の形での説明会を実施するようになりました。高1の夏休みには“女子美術大学夏休み体験プログラム”があります。まずはどんな学科があり、どんなことをしているのかを知る機会を提供しています。高校2年生では、もっと深く大学を知るということで専攻別の大学説明会を行っていただいています。さらに、夏休みには実際に大学に行き、興味のある専攻を体験する機会も設け、進路決定につなげています」(大西先生)

「同校の内部進学率は約8割と非常に高くなっています。どの学科からも喉から手が出るほど欲しい優秀な生徒たちですので、各学科とも毎年、工夫を凝らした説明会を開いてくださいます。高校2年の5月には、ほぼ8割の生徒は希望学科が決まっている状態です」(中村先生)

一般的に、美術大学の受験はハードルが高いと言われている。しかし、同校では受験勉強をすることなく、通常の授業が女子美術大学への進学につながっている。遅刻早退などの出席状況や成績によって上位者から希望の学科に進学できるため、全員が第1希望に行けるわけではないが、それでも、第3希望までには進学できるという。

「同校から大学に進学する生徒はみんな伸び伸びしており、大学でもリーダーシップをとっています。社会に出て活躍している卒業生も多いですね。中には“ぜひ、うちの学科に”と言われる先生もいらっしゃいます」(中村先生)

▶︎写真左より進路指導部の大西先生と中村先生

大学の先生や在校生、卒業生の話が聞ける専攻別説明会

全体説明会の後は、各専攻に分かれての説明会へ。各専攻とも説明会は3回実施され、生徒たちは事前に提出した3つの希望専攻の説明会に参加する。大手代理店でアートディレクターとして活躍している卒業生やグッドデザイン賞で審査員をされている先生、人気のゲームを作った先生、誰でも知っているような広告を作った先生などの話が直接聞けるのも同校ならではだ。

専攻説明会は以下の通り。

〇美術学科(洋画/日本画/立体アート/美術教育/芸術文化)
〇デザイン・工芸学科(ヴィジュアル/プロダクト/環境/工芸)
〇アート・デザイン表現学科(メディア/ヒーリング/ファッションテキスタイル/アートプロデュース)
〇女子美術短期大学

それぞれが、専攻の紹介ムービー、作品の紹介や展示、実演や実際に体験するなどして、大学でどんなことをするのか、どんな学びがあり、将来どんな仕事につながるのか、より具体的にイメージできるよう、工夫されていた。

例えば、デザイン・工芸学科のヴィジュアルデザイン専攻では、大手広告代理店でアートディレクターとして活躍している卒業生が、自身の高校時代、大学時代、そして現在の仕事について画像を見せながら説明したり、カメラマンが生徒をモデルに商品の広告用写真の撮り方を実際に見せたり、在校生が登場したりして、ヴィジュアルデザイン専攻での学びと将来の仕事について紹介していた。

美術学科の日本画専攻では、実際に銀箔や銅箔を使った作品作りを実演。生徒たちが真剣な眼差しで先生の手元を見つめる中、ガスコンロを持ち込み、フライパンで箔を熱し、模様を付けた黒い板に箔を貼り付け、最後にブラシで箔を落とすと、銀箔と銅箔が絶妙に合わさった蝶と花の模様が浮かび上がった。

「日本画や洋画はもちろんですが、アニメやイラストなどが学べるメディア表現や他にないヒーリング表現領域などが人気です。比較的新しい分野に興味を持つ生徒が多いようです」(大西先生)

グラフィックが学べるヴィジュアルデザイン専攻やヒーリング表現領域の教室は、大勢の生徒が参加していた。中には保護者と一緒に回っている生徒もおり、進学への意識の高さがうかがえた。

伸び伸びとバイタリティ溢れる女子美の生徒

大勢の高校生が行き交う大学説明会で、運営側の大学教授とプレゼンターとして参加していた卒業生に話を聞いた。

荒 姿寿さん/女子美術大学准教授(芸術学部 デザイン・工芸学科 工芸専攻)

「今回の大学説明会に当たり、工芸専攻は全教員で参加しています。工芸専攻には染・織・刺繍・陶・ガラスの5領域あります。それぞれ異なる分野になるので、細かく丁寧に伝えたいと考え、全員での参加になりました。

付属の生徒の特徴は、明るくて、ポジティブで、何事にも熱をもってやりきる、というところだと思います。バイタリティがあり、見ているこちらも元気になります。付属生は大学に入るのに受験勉強をする必要がないからでしょうか、みんな伸び伸びしていますね。中高大連携授業を行っているので、中高生と触れ合う機会も多いのですが、中学のときから大学進学を見据えて、伸び伸びとした時間の中で学んでいる印象があります。

工芸専攻は70年余りの歴史があります。特に染織においては、最初に大学教育に取り入れた学校になります。ぜひ、長年積み重ねてきた教育カリキュラムを皆さんに紹介したいと思っています。工芸は一生続けていける仕事です。デジタル化が進む時代だからこそ、手作りの面白さ、直観力を鍛えられるようなモノ作りの重要性を生徒に伝えたいです。

大学は制作をする場なだけでなく、生徒同士の交流や学内外のさまざまなプロジェクトがあります。大学生活では一つの専門にとことん熱中するのはもちろん、一見制作に関係がないと思われるようなさまざまな活動を通して、それぞれの世界を広げ、自身の制作・創作に向き合っていただきたいと思います」

▶︎荒 姿寿さん/女子美術大学准教授

柴谷 麻以さん/大手広告代理店アートディレクター(女子美術大学デザイン学科VCDコース卒)

「大学説明会に参加するのは今回が2回目です。私は中学から女子美なのですが、女子美での学生生活はずっと楽しかったので、それを後輩たちに伝えられればと思いました。

女子美生はいろんなキャラの人がいて、みんな自由なんです。会社にいる人たちとは違う、女子美独特の感じがあります。今でも女子美の仲間とは交流があります。女子美生のつながりを大切にしながらも、みんないろんな意味で自由なので、枠にとらわれない活動をしている人が多いです。

高校時代は学校の行事が好きで、運動会や女子美祭の出し物を考えるのが楽しかったです。女子美生はみんなで一緒に楽しむのが好き、というのがあるので、みんなで一つの物を作ったりしていました。大学のときには仲間とテレビの仮装大賞に出たこともあります。

女子美生は伸び伸びしています。大学に入っても、そのまま伸び伸びと好きなことを突き詰めて行ってほしいと思います。それが、結果、強みになります。ぜひ、自分の“好き”を突き詰めてください。

▶︎柴谷 麻以さん/大手広告代理店アートディレクター

<プロフィール>
女子美術大学デザイン学科VCDコース(現デザイン・工芸学科ヴィジュアルデザイン専攻)卒。大手代理店に入社。アートディレクターとしてNHK「ねほりんぱぽりん」やJR東日本「交通系ICカード全国相互利用マーク」を手掛ける。2019年度ADC賞受賞。

<取材を終えて>
学校で大学の説明会、しかも全専攻の説明会が聞けるのは、大学の付属といえども珍しいのではないだろうか。しかも、内部進学が約8割と聞いて驚いた。各専攻とも工夫を凝らした説明会教室は、さながら文化祭のようでもある。学生でない私もついつい見入ってしまう教室がいくつもあった。実際に見て、聞いて、触れて、体験して、進路を決められる、重要な機会だと感じた。

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