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スクール特集(目黒日本大学高等学校の特色のある教育 #4)

生徒に関わるすべての人の幸せを目指す 目黒日大流“生徒ファースト”

一斉休校中には受験生向けの広報活動は一切行わず、「学びを止めない」ことと生徒や教職員の健康を第一に考えた目黒日本大学高等学校。目黒日大流の“生徒ファースト”とは?

2019年度より、日本大学の付属校として新たなスタートを切った目黒日本大学高等学校。一斉休校中には受験生向けの広報活動は行わず、今年度初めての学校説明会を実施したのは8月末。今年度3回目となる学校説明会を取材し、“生徒ファースト”で進めてきたオンライン授業や学校行事について広報部長の天野正貴先生と1年生2人に話を聞いた。

生徒と教職員の健康を守るオンライン授業

新型コロナウイルスの影響で一斉休校となってから、通常通りの授業が行えるようになるまで、学校説明会をはじめとする受験生向けの活動は一切行っていなかったと、天野先生は振り返る。

「本校では、まず『学びを止めない』ことを第一と考えました。特に中3や高3は進学指導が重要な時期ですし、中1や高1は友達ができるかという不安も大きかったと思います。1人に1台iPadを渡してあったので、特別時間割を組んでオンライン授業を行い、教職員全員で授業とメンタルケアに注力しました。友達づくりや学習への不安に対しても細心の注意を払い、常駐しているカウンセラーや担任によるリモート面談を生徒や保護者に行っています。『学びを止めない』ことを第一に考えましたが、一斉休校中は教職員も基本的には在宅勤務です。教員はスーパーマンではありませんし、教員にも家族がいます。理事長の判断で、生徒と教職員の健康を守ることを徹底し、教員も自宅から授業や連絡を行いました。授業以外の時間は、先の分まで教材研究をしっかり行うなど、有意義に使うことができたと思います」(天野先生)

リモートで行った教員同士の会議や研修では、Zoomだけではなく、PowerPointやChromeといった様々なタイプのオンライン授業についてベテランから新任まで全教員で共有。一部の教員だけが自分のスキルを発揮するのではなく、それをオープンにして他の教員も自分の科目にあったやりかたを検証できるようにしたという。

「正直、ICTに慣れていないベテラン教員もいました。そこで、新任の教員と50代のベテランがペアになって教えたり、科目担当ごとに会議を重ねたりしたことで、自分の授業や科目に合うやり方を選んでオンライン授業を行えるようになりました。会議や研修を通して、教員たちのチーム力も高まったと思います。教務部が中心になって特別時間割を作成し、主要科目以外もバランスよく実施しました。登校できない中で、生活のリズムを整えることも大切です。1年生は制服を買ったのにまだ学校に着て行けない状況でしたが、朝のホームルームでは制服に着替えて画面に映り、クラスのみんなと顔を合わせてから1日を始めていました」(天野先生)

▶︎広報部長 天野正貴先生

休校中でも個々の成長を見極めてフォロー

休校中は、出された課題に取り組むだけでなく、自分で新たな学びを見つけられる生徒も出てきた。その一方で、1人で取り組むことが難しい生徒もいたという。

「まず、課題を与えてできる子とできない子に分かれました。そこから、自分で計画が立てられる子と立てられない子、言われなくてもできる子と言われたことはやれる子、そして言われてもできない子へと分かれていきます。言われてもできない子は、決まった時間になかなかログインできなかったりしたので、教員は個々の状況をしっかりと把握してフォローをしました。授業が終わってからClassi(教育プラットフォーム)の学習状況記録にコメントを書く時間なども、普段より多くとって対応しました。その一方で、こちらがベースとして用意したレールをいい意味で脱線して、自分の道を作っていける子も出てきました。休校中に読書をするようになったとか、経済新聞を読み始めたとか、自ら学ぼうとする意欲が出てきた子もいます」(天野先生)

6月中旬からの分散登校を経て、現在は授業も部活動も通常通り行われている。生徒たちからは「やっぱり、オンラインより対面授業がいい」という声が多く聞かれるが、今後もオンライン授業は切り離せないツールとなったのではないか、と天野先生は語る。

「もちろん、対面授業が1番だと思いますが、場合によってはオンラインのよさを活かせることもあると思います。例えば、共通テスト直前の高3に冬期講習を行うなら、登校してもらうよりオンラインの方がよいでしょう。一斉休校中にオンラインのよい面がわかったので、通常登校中でもオンライン授業と共存していく形がとれると考えています。教員の役割についても、大切なのはティーチングではなくコーチングなのではないかと、オンライン授業を通して感じました。教えることがすべてではなく、一人ひとりと向き合って進捗状況を見守り、必要であればフォローしたり、グループワークでのファシリテーターのような役割が重要ではないかと思います」(天野先生)

行事を通して得られる大切なもの

新型コロナウイルスの影響で、学校行事を行うことも難しい。しかし同校では、できるだけ「中止」にはせず、「延期」にしているという。

「本校では、行事を通して得られる達成感や満足感、愛校心、協調性、クラスの絆などを大事にしています。そして、それを生徒たちも理解してくれています。一斉休校中にできなかった行事でも、状況によっては2学期以降にできるかもしれません。ですから、いきなり中止にはせずに、まずは延期にしています。例えば1学期にやるはずだった体育祭は、2学期にずらして10月23日にやる予定でした。しかし残念ながら大雨となってしまったので、結局中止となりました。それでも、1学期に中止と決めるのとは意味が違うので、生徒たちも納得しています。応援合戦の練習などにも力を入れていたので、体育祭の代替行事として、学年単位でのレクなどを生徒会が中心となって考えています」(天野先生)

文化祭については、例年は2日間行うところ今年は1日だけとし、来校できるのは保護者と在校生に限定して開催した。文化祭を開催したことで、生徒同士の距離がかなり縮まったという点でも大きな意味があったと、天野先生は語る。 

「1学期はあまり登校できなかったので、特に1年生はクラス内でコミュニケーションが取れるように、グループワークの時間を多めにとったりしていました。それでもまだ距離があると感じていたのですが、文化祭の準備をしていく中でやっと通常の距離感になったようです。ようやく生徒間の小さな揉めごとも起きるようになり、ホッとしました。それが心を許せるようになった証であり、学びの機会でもあると思います」(天野先生)

同校では、生徒に関わるすべての人が幸せになれるプログラムについて絶えず考えているのだと、天野先生は説明する。例えば、コロナ禍で経済的なダメージを受けた家庭の救済措置を考え、飲食店を営む家庭すべてに連絡をして、同校で教職員の昼食を販売することを提案したという。

「環境調査書で飲食店を営む家庭を確認して、デリバリーができるなら場を設けますと連絡しました。『遠方なので残念ながら難しいです』という家庭もありましたが、近隣の方は『助かります』と言ってくださり、今も継続して昼食の販売をしていただいています。本校では、人とのつながりを大切にし、共存や他者を思いやることの延長として、学園全体でできることがあれば行動に移します。文化祭では、近隣の商店街にも声をかけ、昼食の弁当を販売する場を提供しました。最初は文化祭を開催することに驚く方もいましたが、感染防止策を徹底していることなどを丁寧に説明したところ、喜んでご協力くださいました」(天野先生)

“受験生ファースト”の学校説明会

受験生向けの説明会をスタートさせたのは、他校よりもかなり遅い8月下旬だ。定員を大幅に減らして500名限定で開催し、それをライブ配信するというハイブリッド型で実施。受験生や保護者の負担を考え、ビジネスツールのZoomではなく、手軽に視聴できるYouTube Liveで配信している。

「オンラインでやるにしても、ライブ配信で見てもらいたいという思いがありました。司会の生徒、校長による教育理念の説明、教務部による教育内容の説明、生徒による経験談、そして入試広報部による入試概要まで、すべてが1つのストーリーになっているので、早送りなどせずに見てほしいのです。感染防止策を徹底し、準備を整えた上で説明会の告知をしています。来校してくださる方たちには、校内での感染防止策を感じ取ってもらい、これが普段の学校生活にも活かされていると安心してもらえるはすです。ライブ配信で見てくださった方は、きっと次の説明会は会場へ行ってみたいという気持ちになっていただけると思っています。実際、今日の説明会は先月に開催したものと同じ内容ですが、前回は配信で見て、今回は来校してくださっているリピーターが140組もいます。スタートは遅かったですが、参加組数は前年度をはるかに上回っています。多くの受験生や保護者の方たちが本校に関心を持ってくださり、本当にありがたいです」(天野先生)

一斉休校中は、広報活動をしていないことにもどかしさを感じていた時期もあったが、今はあの判断でよかったと自信を持って言える、と天野先生は語る。

「今後も、受験生が知りたいことやタイミングなどを考えて、“受験生ファースト”の説明会や相談会を行っていきます。受験生の皆さんは、偏差値だけでなく、なぜその学校を受験したいのか、その学校で何をしたいのか、じっくりと考えて受験する学校を決めてください。本校には4つのコースがあり、個々のニーズに合ったクラスがきっとあると思います。併願する場合、もし第2希望に通うことになったとしても、仕方なく通うのではなく、『第2志望だけど第1志望と同じぐらい行きたかった』と言える学校選びをしてほしいです」(天野先生)

2020年度3回目の学校説明会

取材した日は、「これで解決!キミが選んだクラスの特徴を教えます!」というテーマで、今年度3回目の学校説明会が体育館で開催された。座席の間隔をあけ、定員は500名。校舎の入口では生徒たちが「こんにちは」と元気に挨拶し、靴袋を渡したり、手指消毒を促していた。体育館へ進む廊下にはサーモカメラが設置されており、自動で検温される。体育館に入る前に、生徒たちが学校案内などの資料を渡し、体育館の中では座席へ誘導。どの生徒も感染防止策を徹底した上で、しっかりと自分の役割を果たしていた。

説明会の司会を担当したのは、高1の生徒2名。感染防止策への協力に対して感謝を述べ、検温の結果37.5℃以上の人はいなかったと発表した。学校カウンセラーの資格も持つ校長・南尊雄先生のパートでは、一人ひとりの能力や適性に合った全人的な教育を施す「オーダーメイド教育」が特徴であることなどが語られた。クラス紹介のパートでは、特進クラスとN進学クラスについては高1の生徒が説明。特進クラスの生徒は、部活動と勉強を両立させていること、タブレットを使った授業やオンライン英会話の様子などを紹介した。N進学クラスの生徒は、探究(IP)の授業について、文化祭をきっかけにクラスがまとまっていったこと、休校となって不安もあったが今は充実した学校生活が送れていることなどを話した。2人ともただコースについて紹介するだけでなく、自分たちの気持ちも交えて説明していたので、中学生にも同校の魅力がより伝わったことだろう。

説明会が終わると、各教室に配置された在校生から、施設についての説明を聞くことができる。制服紹介を担当した生徒たちの前で、熱心に話を聞く保護者や中学生の姿が印象的だった。

学校説明会で司会を担当した生徒にインタビュー

学校説明会で司会を務めた1年生2人に、学校生活について聞いた。

Nさん 高1(特進クラス)高入生
Tくん 高1(N進学クラス)高入生

――学校説明会ではどのような気持ちで司会をしましたか?

Nさん 昨年は私も聞く側だったので、緊張して不安な気持ちで座っていました。そのような気持ちがわかるので、「大丈夫だよ」という思いが伝わるように、笑顔でハキハキと話しました。今日会場にいた受験生たちが、この学校に入学したいと思ってもらえたら嬉しいです。

Tくん 会場にいる受験生たちは、1年前の自分と同じようなことを感じていると思います。楽しい学校だということが伝わって、少しでも緊張や不安がほぐれるように、言葉に気持ちを込めて司会をしました。

――この学校を志望した理由は?

Nさん 塾の先生から紹介されて説明会に来てみたら、校舎がきれいで素敵だなと思いました。制服もたくさんバリエーションがあってかわいいです。プールやトレーニングルーム、自販機などもあり、充実した高校生活が送れると思いました。日本大学の付属というのも魅力です。安心感があるので、それが決め手となりました。

Tくん 中学生のときに行きたい大学が固まっていたので、自分がその大学に行くためにはどの高校に行くのがいいか調べて決めました。学習支援センターが利用できるのもよかったです。

――一斉休校中のオンライン授業はどうでしたか?

Nさん 中学からの友達が1人もいなかったので、オンライン授業の間はとても不安でした。Zoomでの授業には先生も最初のうちは慣れていなかったので、先生がミュートをしてしまって何も聞こえないこともありました(笑)。呼びかけても先生には聞こえていないので、「どうする?」「学校に電話する?」などと話し合ったりして、そういったハプニングがクラスのみんなと話すきっかけになったと思います。登校してからも「あの時はこうだったよね」などと思い出し、Zoomで授業したときの話で盛り上がります。分散登校になって学校に来てみたら、みんな優しくてすぐに仲良くなれました。

Tくん オンライン授業の最後にホームルームの時間があり、ブレイクアウトルーム機能を使って3人とか4人で話す機会がありました。そこで仲良くなったら、InstagramやLINEを教え合ったりして交流が広がっていったと思います。内進生もいますが、高校から入学する生徒が多いので、高入生が馴染みにくいなどの心配もありません。

――部活動について教えてください。

Nさん 小学生のときに水泳をやっていて、中学では違う部活だったのですが、また水泳をやりたいと思って水泳部に入りました。この学校のプールは広くてきれいで、他校と比べてもすごいと思います。設備も整っていて、大会などでも成果がでています。

Tくん 僕は合唱部に入っています。今年度から新設されたので、男子はまだ少ないです。
通っていた中学が合唱に力を入れていて、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)などにも出場していました。中学で合唱の楽しさを知ったので、高校でも合唱を続けたいと思って入りました。感染防止策として練習はマスクをつけたまま行っていますが、歌うときはマスクの口元を広げたり、文化祭ではマウスシールドをつけてステージに立ちました。「虹」や「民衆の歌」(「レ・ミゼラブル」より)、「Hail Holy Queen」(「天使にラブソングを」より)など、いろんなジャンルの曲を歌っています。

――入学してから一番楽しかったこと、これから楽しみにしていることはありますか?

Nさん クラスのみんなと話しているときが楽しいです。文化祭の前までは男女で分かれて話している感じでしたが、文化祭の準備を進めていくうちに男女関係なく話せるようになりました。私は文化祭実行委員だったのですが、中止になった学校もたくさんあるので、開催できて本当によかったです。私たちのクラスは縁日をやりました。ヨーヨーや射的などのゲームと英単語のポイント制を絡めて、担任の先生と対決する出し物です。担任の先生との仲も深まりました(笑)。

Tくん 行事が好きなので、12月に予定されている研修旅行が楽しみです。コロナの状況によるのでまだ行けるかわかりませんが、萩・広島へ2泊3日で行きます。本当は4月に行く予定だったのですが8月に延期されて、また12月に延期されました。2月の合唱コンクールは高1だけの行事なので、できるといいなと思っています。

――文化祭では、感染防止策としてどのようなことに気を付けましたか?

Nさん クラスから案を出して、対策がしっかりできていないと生徒会の審議で戻されました。行列ができないようにファストパスのようなものを考えたり、消毒や換気も徹底しています。お化け屋敷は密になるので、代替案としてVRホラーの機材を生徒会が貸してくれたりして、いろいろ動いてくれました。担任の先生とも相談しながら、感染防止策をしっかり行った上で開催できたと思います。

――将来の夢を教えてください。

Nさん 母が看護師をしていて、ずっと働く姿を見てきたので、私も医療系に進みたいと思っています。新型コロナウイルスの対応は大変だと思いますが、私も少しでも貢献したいという気持ちになりました。

Tくん 僕は学校の先生になりたいです。いろいろな先生の授業を見て、自分もわからない人に教えてあげたいと思うようになりました。この学校には面白い先生が多く、授業も楽しいです。理系科目が好きなので、物理や化学の先生になれたらいいなと思っています。 

――この学校のいいなと思うところを教えてください。

Tくん 施設がきれいです。先生も熱心で、学習支援センターではチューターに質問できます。

Nさん 学習支援センターには、部活が終わったら毎日行っています。たくさんの生徒が利用しても密にならない広さがあり、静かで集中して勉強できるのがいいです。質問箱に質問を入れておくと、チューターが丁寧に教えてくれます。いいなと思うのは、やっぱり校舎がきれいなことです(笑)。先生が面白くて、生徒と先生の距離が近くて仲もいいと思います。

<取材を終えて>
今回の説明会は、来校型の枠が申し込み開始後1日半で定員に達したそうだ。実際に来校し、生徒たちの表情なども見たいと思う保護者や中学生も多いのだろう。一方、ライブ配信なら、感染リスクが心配な保護者も安心して視聴できる。Zoomによる配信は、アプリのダウンロードやID取得など、慣れていない人にとってはハードルが高いが、YouTube Liveなら視聴しやすい。こういった点からも、同校が“受験生ファースト”の説明会を目指していることが伝わった。今後の説明会や個別相談会の実施についても、どのような点で“受験生ファースト”であるかも含めて、注目していただきたい。

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