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立川女子高等学校

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スクール特集(立川女子高等学校の特色のある教育 #9)

演劇を通して実感!「誰かとつながりがある人生」の楽しさ

立川女子高等学校の演劇部は全国大会出場経験もあり、同校でも注目の部活動。10月の地区大会に向けて、夏休み中に基礎練習を行う演劇部を取材した。

立川女子高等学校の演劇部は都大会の常連であり、2020年、2023年は全国大会にも出場した。近年は、独特の世界観やクオリティの高さが各大会で注目されている。夏休み中の活動を取材し、演劇部顧問の角田奈月先生と4名の部員に話を聞いた。

地区大会突破の秘訣は「体づくり」

高校演劇の全国大会は、約2000校の加盟校から地区大会や各都道府県大会、ブロック大会を経て、わずか12校が出場できる狭き門だ。東京は6地区に分けて地区大会を行っており、各地区をA日程とB日程に分割し、それぞれ審査をして各2校が都大会に推薦される。

「演劇部にとって、一番大きな目標となっているのが地区大会です。多摩南地区は武蔵野市から町田市あたりまでのエリアで約30校が加盟しています。今年は10月12日に地区大会があるので、まずはそこを突破することが目標です。大会では60分のオリジナル作品を演じますが、実はまだ台本ができていません。例年こんな感じで、9月のはじめ頃に台本を渡して、1ヶ月ぐらいで仕上げます。他校なら無理だと言われそうなスケジュールですが、本校の部員は毎年追い詰められて、毎年なんとかしてくれています」(角田先生)

ギリギリのスケジュールでも、地区大会を勝ち抜き都大会、関東大会へと進むことができるのは、発声や腹筋など、体づくりのベースとなる練習をしっかりと行っているからだという。

「できる体を持っていれば、短期間でも作品を仕上げることができます。逆に、体ができていなければ、どんなに前もって役を渡していても作品を仕上げることはできないでしょう。しっかりとした土台ができていないと、その上に積み上げていくことができないので、結局基礎に立ち返ることになってしまいます。基礎が出来ていれば台本を渡してからの進みも速く、スムーズに仕上げることができるのです。ですから、大会に向けた練習以外で、どのような時間の使い方をしているかが大切だと思っています」(角田先生)

▶︎演劇部顧問 角田奈月先生

「演じる」ことが全てではない部活動

演劇部であっても、演劇がうまくなるだけでは豊かな活動とはいえないと角田先生は語る。

「演劇を通して、その先で何が身につくか、何を得たのかということを考えてほしいと思っています。演劇は、とにかくやることが多いです。役者だけでなく、台本や演出、道具を作ったり、人数が多いので部屋の片付けも大変です。自分から気づいて片付けてくれる人がいたり、みんなが快適に過ごせるように気を配って活動する人がいたり、それぞれがいろいろな役割を果たして、1つの作品をつくるというレベルまで達しています。役者だけが全てではなくて、基礎練習や完成にたどり着くまでの過程も含めて、いろいろなことを考えたり、感じてもらいたいと思っています」(角田先生)

部長や副部長は自分たちが引退するときに、顧問と相談して次の代では誰がふさわしいか決めて引き継いでいくという。
 
「顧問も見ていますが、より近い距離で見てきた生徒が役割を引き継ぐ人を決めるので、教員が決めるより重く受け止めているかもしれません。部員がみんな、声が大きくて元気でリーダーシップが取れるわけではありません。部長や副部長以外もそれぞれの個性を活かして、片付けなどの細かなことはきれい好きな人がやるなど、よい動きをしてくれています。いろいろな役割を果たしながら人とのつながりを感じ、関係性の大切さを理解していってほしいです。人は、誰かと関わらないで生きていくことはできないと思っています。一切の関わりを断って自分だけで生きていくことはできませんし、たとえできたとしても、誰かとつながりがある人生の方がより楽しいでしょう。演劇部の活動を通してそれを知って、他の人たちにも伝えてくれるような人に育ってくれたらいいなと思っています。卒業した後も、もっと広く社会全体に影響を与えてくれるような人になってくれることを願っています」(角田先生)

演劇部の部員4名にインタビュー

Eさん(高3 部長)
Tさん(高2)
Sさん(高3 副部長)
Oさん(高2)

▶︎文化祭の公演

――演劇部に入部した理由を教えてください。

Eさん 私は演劇をやったこともなかったですし、あまり興味もなかったんですが、新入生歓迎会で見た演劇部の公演がとてもよかったんです。演劇部に新入生が入ってくるという劇で、親近感が持てる内容でした。それを見て、新しいことに挑戦したいという気持ちになって入部しました。

Tさん 私は小学校高学年のとき、子役事務所で演技のレッスンを受けていました。舞台に立つことに興味があったので、文化祭や新入生歓迎会で演劇部の舞台を見て、やってみたいと思いました。

Sさん 私も小さい頃から地域の劇団に入っていたので、演劇に興味がありました。高校で演劇をやりたいと思って受験校を探して、この学校の演劇部に入りたいと思って受験しました。

Oさん 私は新体操をやっていたので、高校では新体操部に入ろうと思っていました。新体操部がある高校は少なかったのですが、この学校には新体操部があったから受験したんです。入学後、たまたま友達から仮入部に誘われて演劇部に行ってみたら楽しかったので、新体操部ではなく演劇部に入りました。

▶︎Eさん

――演劇部の活動でどんなときに楽しさを感じますか?

Eさん 劇をすることも楽しいですが、部員のみんなと過ごす時間が楽しいです。劇を一から作りあげる過程では、どんどん形になっていく中でやりがいや楽しさが感じられます。劇が仕上がっていくにつれて、みんなと気持ちがつながっていく感じが好きです。

Tさん 舞台をやりきったとき、観てくれた方から感想もらったり、心が動かされたと大会で言われたときです。人に感動を与えられたと感じたとき、今まで頑張ってよかったなと思います。

Sさん 自分がやってこなかったような、新しいことができる瞬間が楽しいです。それは役としてだけでなく、部活での役割でも感じます。今までは周りを見て行動するタイプではなかったのですが、演劇部に入ってから少しずつ周りを見られるようになってきたかなと思います。1年生のときは、自分ができないことがあると「何でできないんだろう」と思い悩むこともありました。同じように悩んでいる後輩がいたら、声をかけてあげようと心がけています。

Oさん 1年生のときに先輩に言われた助言を今の1年生に言ってあげられることが、成長したなと思えて楽しさを感じます。

▶︎Tさん

――2023年は全国大会出場、2024年は関東大会まででしたが、その差はどこにあったか、今年度の意気込みなどを教えてください。

Eさん 私自身は、努力や作品の質に優劣があったとは思っていません。審査員によって感じ方も違うと思うので、私たちの側には何の差もなかったと私は言い切りたいです。3年生の私たちにできることは少ないですが、今年度は全国大会に行けるように、1、2年生それぞれの力を引き出す手伝いができたらいいなと思っています。先生も、「高校演劇は、まったく違うタイプの作品を同じ土俵で競わせるのが辛いところでもあり、面白いところでもある」と言っていました。全力を出した後は「運」だと思います(笑)。

Sさん 私が1年生のときに先輩たちが全国大会に出場し、私もその姿を見てやってきたので、練習量や完成度はその時と比べても申し分なかったと思っています。完成度が高いと自分では思えましたし、やりきれたと言い切れます。

Tさん 関東大会で最優秀賞を受賞した作品は、とても面白いと思いました。次はどうなるんだろうという展開で、パロディも使って、どの年代でも笑いが取れるような印象に残る作品です。一方で、私たちの作品も観客が楽しめ、印象に残る舞台にできたと思っています。タイプが全然違うので、観客の感じ方も違っていて、優劣はつけられない感じです。

Oさん 全国大会に出場するために、まずは体調管理を万全にしようと思っています。私は体調を崩しやすいので、基礎の練習を毎回全力でできるように体調を整えて、1年生のときに学んだことや教えてもらったことをどう作品で出していけるか考えて練習していきたいです。

▶︎Sさん

――将来についてどのように考えていますか?

Eさん 将来は、保育の道に進みたいと考えています。演劇を通して、人と人との関わり方や相手の気持ちをおもんばかることなど、成長できたと思っています。これまで培ったことを活かして、誰に対しても優しくありたいです。 

Tさん 演劇部での活動を通して育まれた協調性や自分から行動する力は、どの職業でも活かせると思います。演劇部で学んだことや成長できたことを、将来に活かせていけたらいいなと思っています。

Sさん 表現することが好きなので、進学先では演劇を通して表現について学びたいと思っています。演劇部で活動する中で視野が広げられたので、これからも表現することで、人間関係や自分の世界を広げていきたいです。

Oさん 中学校では部活で入賞できなくても、友達と「悔しかったね」と言って終わっていましたが、高校で演劇部に入ってからは悔しくて涙が出ることが増えました。上を目指そうという気持ちや練習量の多さ、部員同士の関わりの深さが、中学校とは違うからだと思います。昨年度は関東大会で最優秀賞が取れず、全国大会に進めなかったことが本当に悔しかったです。私は高校の教員になりたいので、涙が出るほど悔しい思いをしたり、楽しいと感じることができるんだと伝えられたらいいなと思っています。

▶︎Oさん

<取材を終えて>
取材した日は、歌の練習、発声練習、筋トレなどを行っていた。角田先生が「どんなに早く台本を渡しても、基礎ができていなければ結局戻ることになるので先に進められない」と言っていたことが印象的だった。入学したばかりの1年生は、なぜこんな練習ばかりするのかと思うかもしれないが、ちゃんと理由があるのだ。高校演劇の各大会は、一般公開されている。同校の文化祭でも演劇部の舞台を見ることができるので、興味のある人はぜひ足を運んでいただきたい。

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